病院・クリニック経営者のための税務会計

病院・クリニック経営者のための税務会計

平成19年の医療法の大改正により、現在医療法人を取り巻く環境も大きく変化しています。税理士事務所「ちよだ税理士法人」は、病院やクリニックの経営者である皆様に、改正法に対応した税務・会計サポートと有益な情報をご提供しております。

病院の税務会計業務について病院経営者からのQ&A
クリニックの税務会計業務についてクリニック経営者からのQ&A

病院の税務会計業務について

  1. 経理の効率化、合理化支援
  2. 月次管理、予実績管理、未来キャッシュフロー計算書の作成
  3. 消費税課税区分チェック(産婦人科その他)
  4. 損益分岐点分析など経営分析
  5. 経営計画の策定、経営改善および経営戦略の実践
  6. 医業データの解析(入院・外来別患者数、入院日当円、診療科別収益、病床分析など)
  7. 請求漏れ、レセプト診断
  8. 決算申告業務
  9. 決算対策検討会の開催
  10. 税務調査対応
  11. 社会保険、労働保険手続き代行
  12. 給与計算、年末調整の受託
  13. 人事労務管理(就業規則の見直し、職員満足度の向上)
  14. 賃金制度の再構築(仕事調べ、面談、適正人員の把握、モデル賃金表の作成など)
  15. 人事考課制度の立案・運営
  16. 病院転換政策、転換シュミレーション
  17. 診療報酬研究会
  18. 医業経営情報の提供
  19. 合併、買収、営業譲渡
  20. M&Aに伴うデューデリジェンス

病院経営者からのQ&A

税務や会計に関し、病院の経営者から当税理士事務所によく寄せられるご質問にお答えします。

1. 病院経営には、厳しい時代ですが?
診療報酬がマイナス改定になる時代ですし、国の政策にも左右される時代ですので、経営の合理化、効率化は避けられない時代ではあります。「売上は最大に、経費は最小に」という経営感覚も一層求められます。但し、いかに「患者満足度」「職員満足度」を高めることができるか。昔も今も、基本的なことはなにも変わってはいません。
2. 人材が定着しませんが?
賃金、労働時間、休日・休暇等労働条件は、働く人にとって大事な要素です。しかし、ホーソン実験ではありませんが、最も関心事は、人間関係です。明るい快適な職場を形成することに、もっと病院経営者は、心血を注ぐべきです。そのためには、就業規則等諸規定を再整備し、働くルール作りを再構築することです。公平で公正な賃金制度、人事考課制度を所持するべきです。
3. 人件費について悩んでいるのですが…。
病院のコストの半分を占めるといわれる人件費。人件費の削減は、現在の病院経営には避けて通れない課題です。しかし、専門家集団である医療従事者への安易な賃下げ、リストラは医療の質を低下させるだけで、かえって逆効果になることが多いようです。病院の賃金を、いろいろな角度から分析する。売上対比、労働分配率、一人あたりの賃金、職種ごと平均賃金等を把握し、世間相場(厚生労働省の賃金構造基本統計調査等)と対比させる。まず現状分析をすることです。そして、課題や問題点を抽出する。次に、課題等を是正するための戦略を立て、理想の賃金体系を確立させる。一方で、適正人員を見極める、総人件費枠を設定する作業を行います。両者をマッチさせる経営努力が必要です。
4. 病院機能評価について教えてください。
病院機能評価とは、財団法人日本医療機能評価機構が第三者評価機関として実施し、結果として出た情報を提供しているものです。
5. 療養病床の削減策により、転換等が迫られているのですが…。
平成24年3月が介護療養病床の廃止と医療療養病床の削減におけるリミットです。厚生労働省のホームページでは、転換策についてのモデルパターンが掲載しています。療養病床転換促進のための追加支援措置も打ち出されています。この現実を前にしても、過去の施策を思い起こしてしまったり、政局の不透明さもあってか、その場に立ち止まってしまう方もいらしゃるとは思います。当税理士事務所では、転換策(転換シュミレーション)、有床診療所の今後のあり方も含めてご相談に応じています。お気軽にお問い合わせください。
6. 個人事業主と医療法人の場合で、税務申告の相違点を教えてください。
医療法人化しますと、所得税の事業所得ではなく、法人税の申告をしなければなりません。個人事業主は、1月1日から12月31日までの所得を翌年の確定申告時期(通常2月16日~3月15日)に申告納付しなければなりませんが、医療法人の場合、定款に定めた決算期から2か月以内(3月決算ならば5月末まで)に申告納付することになります。個人事業主であれば、住民税や事業税の申告を自らする必要はありませんでしたが、法人になりますと法人住民税(都道府県民税と市町村民税)や法人事業税の申告も必要になります。
7. 医療法人の事業税の申告は特殊だと聞きましたが?
事業税の場合、課税、非課税の課税区分は大切です。例えば、医療法人でも社会保険診療などは非課税になります。労災・自賠責など消費税では非課税でも、事業税では課税になるものがあるのです。なお、所得算出方法や添付書類は、都道府県により異なりますのでご注意ください。
8. 医療法人の消費税について教えてください。
医療法人の開設時に出資金を1,000万円未満で作っていれば、1および2期目は納税義務がありません。3期目の申告納税義務は、1期目の課税売上高(自費など消費税の対象となる売上)が1,000万円を超えるかでどうかで判定します。1期目が1年に満たない場合には、1年換算となりますので、ご注意ください。
9. 医療法人化後には何をすればいいですか?
通帳、各取引名義など、法人に変更する必要があります。その後、個人に帰属する収入・経費と法人に帰属する収入・経費を完全に分離する作業を行います。その他保険の加入、退職金準備の検討も必要です。
10. 最適役員報酬とは?
医療法人化すると、法人から毎月、理事長報酬(役員報酬)の支給をうけます。これは、損金(経費)のため、理事長報酬が高いほど損金が増し、法人税が安くなります。一方で個人の所得税は高くなります。理事長報酬を下げると、法人税が上がり所得税が下がります。最適役員報酬を模索することが節税のポイントです。役員報酬を下げすぎると可処分所得(最終的に自由に使えるお金)が減りますので注意が必要です。
11. 医療法改正での注意点を教えてください。
以下の点にご注意ください。
  1. 監事の職務の明確化が図られました
  2. 平成19年4月1日以降開始する事業年度から、都道府県知事へ届け出る書類は、下記の通りです。
    •  財産目録
    •  貸借対照表
    •  損益計算書
    •  事業報告書
    •  監査報告書(監事)
12. 医療法人の事業承継対策について教えてください。
平成19年4月1日前に設立された医療法人について申し上げます。医療法人は、所有と経営が分離されています。医療法人を後継者が運営するのであれば、理事長の交代を行えば済みます。問題は、出資持分を後継者に移転させる場合です。医療法人の所有者は社員であるからです。評価額は時価となるため、生前贈与や出資持分の評価が下がったときに移転するなど、計画的な事業承継対策が必要となります。

クリニックの税務会計業務について

  1. 記帳代行
  2. 経理支援、自計化の推進
  3. 試算表(貸借対照表、損益計算書)の作成、説明
  4. 経営分析(損益分岐点分析など)
  5. 医業データの解析(患者動向、外来日当円、診療行為別分析など)
  6. 税務申告
  7. 納税予測
  8. 税暦の作成
  9. 税務調査対応
  10. 増患、増収対策
  11. 患者アンケートの実施
  12. 個人開業医の税金対策
  13. 医療法人設立シュミレーション、医療法人設立手続き
  14. 人事労務管理
  15. 賃金制度の再構築(昇給、賞与の決め方)
  16. 人事考課制度の立案・運営
  17. 歯科経営戦略
  18. 医業経営情報の提供
  19. 事業承継対策
  20. ライフプランニングの相談

クリニック経営者からのQ&A

税務や会計に関し、クリニックの経営者から当税理士事務所によく寄せられるご質問にお答えします。

1. 試算表(貸借対照表、損益計算書)をみてもよくわかりません。ポイントを教えてください。
最大のポイントは、費用を変動費(収入に比例して発生する費用、極論すれば、収入がゼロなら発生しない費用)と固定費(収入に関係なく発生する費用)に分解し、限界利益率(変動費÷収入×100)と固定費を把握することです。固定費(+支払利息)を限界利益率で除すれば、損益分岐点の収入が算出されます。診療単価で除すれば、一月の損益トントンになる延べ患者数が導き出されます。診療日数で除すれば、一日の必要患者数がわかります。目標利益(借入金元金や生活費その他)があれば、固定費(+支払利息)にプラスして計算し、必要患者数を算出してください。少し乱暴な考え方ですが、固定費から減価償却費を差し引くと、ほぼ資金(キャッシュ)を考慮した数値が導き出せると思います。実際の患者数が、それを大きく上回っていれば、クリニックは安泰です。試算表などみる必要もないぐらいです。

例えば、内科、無床クリニック、院外処方の場合(月額) ●変動費 ・医薬品費、検査費約10%(限界利益率約90%)●固定費 ・人件費200万円・ 家賃70万円 ・減価償却費30万円 ・その他経費(支払利息含)50万円 ●借入金70万円 ●生活費100万円

計算式
(減価償却費を除く固定費+借入金+生活費)÷限界利益率=月額必要診療収入(320万円+70万円+100万円)÷90%=約544万円
<診療単価4,500円、診療日数を月21日とした場合>
544万円÷4,500円÷21日=約58名(1日あたり必要患者数)
2. 青色申告とは?
あらかじめ税務署長に青色申告の承認書を提出して承認を受け、取引を一定の帳簿に記録し、保存しますと、様々な特典がうけられます。
3. 専従者給与とは?
青色申告者の場合で申しますと、家族従業員に支払った給与が、原則として全額必要経費となります。事前の届出、専従者の要件(他に職業を有する者、学生生徒は駄目、15歳以上等)、給与額と勤務内容とのギャップ等の注意点があります。
4. 家事関連費とは何ですか?
個人開業医の所得は、収入-必要経費で求められます。必要経費とは、事業の遂行上必要な経費のことです。プライベートな飲食費用などは含まれません。
取り扱いが問題となるのは、家事関連費です。家事関連費とは、光熱費、電話代等事業・家事共通の経費のことをいいます。税務では、業務の遂行上必要である部分を明らかに区分できるのであれば、その部分を必要経費にできるとしています。
5. クリニックの増患、増収対策として、何をすればよいか教えてください。
患者さんが少ないのは、クリニック自体の問題か、クリニックの存在自体が認知されていないかのどちらかでしょう。このような場合は、開業時のように診療圏調査が有効です。診療圏内競合医療機関調査・分析、患者アンケートを実施し、現状分析からスタートします。具体的対策については、当税理士事務所にご相談ください。
6. 個人開業医の節税対策について教えてください。
実際に発生した費用でも、領収書などの証拠資料がなければ経費にはなりません。日頃から証憑類の整理をすることが、最高の節税対策となります。このほかについては下記に列挙します。

  • 開業費の温存
  • 青色申告特別控除65万円をうける(複式簿記による記帳、貸借対照表の添付が要件)
  • 専従者給与を支給する
  • 専従者賞与を支給する(届出の範囲内で)
  • 国民年金基金や小規模企業共済(事業主のための退職金)に加入し、控除を増やす
  • 概算経費(措置法26条)を使えるのに専従者給与を支給しているケース(配偶者の所得税が損になる。ただし配偶者が収入を得なければならない特殊事情を除く)
  • 医療法人化
  • 年末、残り5日を休診したら「概算経費率」がつかえるとしたら、どうしますか?! これは、ブラックジョークです。
7. 概算経費率について教えてください。
法人、個人を問わず医師、歯科医師の社会保険診療報酬額が5,000万円以下の場合、実際にかかった費用ではなく、概算経費率の速算式により求めた金額を経費にすることができます。通常、概算経費の方が多いので、納税者には有利な規定です。 事業を始めてから1年に満たない端数が生じたとき、個人開業医は暦年で判定しますが、医療法人では、1年換算する点にご注意ください。
概算経費率の速算表
社会保険診療報酬額概算経費率の速算式
加算額
2,500万円以下72%0円
2,500万円超 3,000万円以下70%50万円
3,000万円超 4,000万円以下62%290万円
4,000万円超 5,000万円以下57%490万円
8. 医療法人化のメリット、デメリットについて教えてください。
医療法人化のメリット、デメリットは下記のとおりです。

<メリット>
  • 給与所得者となるため、給与所得控除が使える
  • 親族を役員(勤務実態があることが前提)にして所得の分散が図れる

  • 保険料が損金算入できる
  • 役員退職金が支給できる
  • 社会保険診療報酬の源泉徴収がなくなる
  • 社会的信用がアップする
  • 事業展開が可能になる
  • 事業承継に有利になる

<デメリット>
  • 医療法改正により、平成19年4月1日以降設立された医療法人については、解散時における残余財産(拠出した金額を超える部分)は国などに帰属することになりました
  • 社会保険の加入が義務付けられる
  • 一定の交際費が課税になる
  • 配当が禁止されている
  • フリーハンドに資金の引き出しができなくなる
  • 小規模企業共済の脱退
  • 届出(決算届出など)が増え、登記(資産の変更、理事長重任)が必要になる
9. 一人医師医療法人について教えてください。
一人医師医療法人は、昭和60年12月の医療法改正で誕生した制度です。従来は、医師または歯科医師が3名以上常勤することが設立の要件でしたが、医師一人でも法人設立が可能となりました。
10. 歯科の経営において注意することはありますか。
歯科診療所の数は、コンビニエンスストアより多いといわれており、競争の激化は熾烈をきわめています。いかに他診療所との差別化を図れるか、自院の特徴・特色を打ち出せるかが重要なポイントとなります。
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